補償導線
補償導線とは
熱電対と指示計器の間の
専用リード線
ひとことで言うと温度センサーである熱電対と指示計器の間の専用リード線として使用されるのが補償導線です。使用温度範囲内で組み合わせて使用する熱電対とほぼ同等の熱起電力を補償するものであり、単独で温度測定に使用することはありません。
補償導線は熱電対の種類に適合した種類及び記号、温度に依る使用区分、構成材料、識別(色分け)、熱電対と接続接点温度、補償導線自体の許容誤差がJISで規格化されています。
補償導線が必要な理由
熱電対を使用するにあたって、測温点と計測地点が極めて近い場合では問題ありませんが、
測温点と計測地点が離れているような場合は、熱電対線をそこまで伸ばしていくという
方法ではいくつかの問題点が発生します。
不経済である
熱電対線は基本的に高価であるため、長い距離を配線する場合には非常にコストがかさみます。特にR・B・Sタイプの貴金属熱電対を使用している場合は、この素材を数百メートルと言った距離を配線するようなことは現実的ではありません。
抵抗値が非常に高くなる
熱電対線の場合、通常は熱起電力への影響を避けるため基本的には単線で使用することを前提としています。それらを長距離で使用すると抵抗値が非常に大きくなり、細線の素線を使用する場合には特に顕著になります。
また、測定器によっては、抵抗値が極端に高くなった場合に断線と見なして警報を出すものや、表示温度に一定の割合で温度を加算するようなものもあるので、正確な測定ができない場合も出てきます。
強度や柔軟性による配線上の問題がある
熱電対線は先にも述べたとおり、単線で使用するため強度的に弱く、また屈曲動作には極めて不利な構造となっています。
配線する場所によっては強く引っ張る必要がある場合や、長いスパンでの架空配線のように自重が掛かるような場合、屈曲性を求められる様な場所での配線を行うと、配線時もしくは配線後短時間での断線をおこしたりすることもあります。
このような理由により、長い熱電対を使用したり、熱電対線を長距離で使用することは困難な場合も多く、熱電対線よりも価格の安価な材料を利用したり、撚り線にすることにより太くし抵抗値を低く抑えたり、可とう性(屈曲性)を持たせたりして、距離を稼いで、なおかつ温度誤差を少なくするための線が必要になります。これらの条件を全て満たすための電線が補償導線と呼ばれるものです。